死人となった。
ある時、ガラスに映った自分を見て
肌の色がすでに生きていない色
(例えていうなら腐った豆腐かチーズのような色)であることに気付く。
張りもなく目も落ちくぼんでいる。
私は既に死んでいるようだ。
皆に気付かれないよう目立たないように移動する。
そのうち人々が私に反応しないことに気付く。
行きたいところには行けるが意志の疎通はできない。
世間と無関係になったようだ。
自分では死体の積りだが腐乱が進んでもう幽霊になっているのかもしれない。
このまま世間をフラフラしていていいものだろうかと
考える。
友人が展示をやっていたので観光がてら隣の国に行くことにした。
隣だと思って却って行かなかったのだが、
恐らく私の偏見もあっただろうと思う。
思い立ってブッキングした直後に
パートナーの親が入院し、大統領も罷免され、
タイミングが悪いのかと不安にかられる。
でも行くのはどうせ美術館と友人のアトリエだけだ。
えいっ。
行くと決めたらガイドブックを熟読する。
山手線に乗りながら空港から乗るバスの番号や値段などを調べていたところ
向かいの席のおじさんが、降りるときにコインを渡してくれ
「行っておいで」と声をかけてくれる。
初めて見た隣の国の通貨であった。
着いてみると隣の国の人たちは皆親切でびっくりした。
島では地元の路線バスを利用したものの言葉がまるで分からず
地図と首ったけの私に対し
地元の乗客のおじちゃんやおばちゃんがどこで降りるのかと聞いてきてくれ
バス停に着くと教えてくださるというありがたさ。
銭湯に行っても飲み屋に入っても、従業員のみならず
英語を話せないその辺の人たちまでもが親切にしてくれるというのは国民性であろう。
日本ではもっと邪険にされるよ。
先の大戦でのもめ事もあるし大変な時期に来てしまって
苛められるかもしれないと思っていたが
日本の報道が偏っているのだろうな。
先の大戦もそうだけどヘイトスピーチとか
日本で暮らしている人たちへの圧政とか本当申し訳ないと思う。
そして隣の国の若者は男女とも大変美しいのであった。
子どもたちと4人一組で座る。
一人は大人、3人は子どもという組み合わせ。
この装置は全員で足をオールを漕ぐように動かすことで宙に浮かぶというもの。
あまり浮き上がってしまうと落下したときに
危険なのでコンクリートの部屋の内部で行う。
確かに浮き上がり歓声があがる。
おお!と思う。
しかしああ。
折角浮き上がる装置に乗っているのに室内とは。
思う存分空を飛んでいけないものかのう。。
散髪をしに美容院に行った。
私は美容師(スタイリストと呼ぶらしい)を変えるのが苦手で
いつも同じ人に頼むことにしている。
10年以上、もしかしたら15年くらい同じ人。
最近はいくつかの店舗(サロンと呼ぶらしい)を兼任しているため
スケジュールが合いにくく、日曜日に切ってもらうことが多い。
日曜日は混んでいる。
前日に予約を入れた私も悪いが、受付で待っていると
担当の美容師さんがスタッフの人にどうやらダブルブッキングに
なってしまったらしいと耳打ちされているのを聞く。
「あっそう」と答える美容師。私も当人だったらそう答えるであろう。やるしかないし。
しかもその日はカラーやパーマを頼む人が多かったらしく、その美容師の客は私を入れて4人になってしまった。
その結果、洗髪後に放置されてしまう。
なんでやねん。
ちゃんと予約入れたのに。
しかも5時過ぎなのでおなかへった。
椅子をくるくる回転させて抗議のパフォーマンスをしたい気持ちをぐっと堪え、
斜めに座り「私待ちくたびれたわ」というポーズで本を読む。
しばらくすると「お待たせしてすみません」と美容師さんが切ってくれる。
「はあ」と言って黙って切られる自分。
その後もう一度放置された後、仕上げのカットをしながら私のところでちょっとした会話が始まった。
とそのとき。
ついに他の客から呼び出しが入る。そして淡々としているが不機嫌な声のクレームが聞こえた。
一瞬誰もが会話を止め、緊張感が走る美容室(サロン)。
私も放置されて待っている間、美容師が楽しそうに他のお客と話していると「ムキー!」と腹立つもんな…
待たせたお客(私)に気持ちよく過ごしてもらわないといけないという美容師の配慮が裏目に出てしまったな。
美容院への同情と、クレームつけた客に代弁してくれてありがとうと思う、複雑な感情を抱く。
それにしても。
と帰りながら思う。
爆発したのが私じゃなくて本当によかった。
通勤で通る道に「架空線に注意」というのぼりが立てられた。
架空線…いきなり不思議な言葉に衝突して驚く。
架空の線にどうやって注意せよというのか。
駅に着くまで牛のように何度も反芻する。
調べてみると空中に張られている線のことを言うらしい。
建設中の道路があるので重機などが線に触れないように
のぼりを立てていることと思われる。
それにしても架空線とは…
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