宮崎駿監督も引退されるということで見てきました。
恋愛表現は若干古きよき時代表現という感じだが
全体としては「困難な時代を生きる人間の姿」というテーマに見合った内容。
また、ところどころに登場する人間の声の効果音が特徴的。
しかし一番感心したのは
ドキュメンタリーにも紹介されていた1年半かけて作ったという
関東大震災時のモブの描き方。
同じ方向に歩いている集団に見えても、
細やかな描き込みによりそれぞれの個人を感じることができ、
監督の以前のモブとは異なる。
これは東日本大震災という体験を踏まえた新しい表現
しかも私たちが必要としていた表現のひとつなのではないかと感じた。
友人から「最近イメージフォーラムでやっている『選挙』が面白かったよ」と聞いて
最終日にようやく「選挙2」を見に行く。(『選挙』には間に合わなかった…)
地味ながら笑える。だけど笑えない。
主人公である候補者山内さんの最後の演説「私に入れなくていいです。ですが選挙には行ってください」が泣ける。
我々の生活と民主主義って…
というところを鋭く切り取る想田和弘監督の才能が光る。
映画が終わって外に出たら主演の山内家族がいらっしゃった。
前作『選挙』のDVDを買って帰る。
こちらは政党というものが巨大な村社会であることを
これまた山内さんの活動を通して鋭く捕らえる作品であった。
『選挙2』公式サイト
http://senkyo2.com/
備忘録:
予告編を見ていたら来月からここでやる
『ポルトガルここに誕生す ギラマンイス歴史地区』は
アキ・カウリスマキ、ビクトル・エリセ、ペドロ・コスタ、
マノエル・ド・オリヴェイラの4人の監督の
オムニバス映画で音楽がグールドだよ。
やばい、行かなくちゃ、です。
ネットに翻弄される日々。
昨日はART-iTの記事を見ていたら朝からついうっかり
パゾリーニの映画「テレオマ」を見てしまう(逃避行動?)。
ネットに掲載されていたのはイタリア語版なのだが、
なんと全て見ることが出来る。
記事にあらすじが書いてあるためイタリア語で見てもちっとも困らない。
http://www.art-it.asia/u/ab_suzukit/3FiaW4vKgVIHQDkejdcr
静かな池に石を落とすように、ある青年をきっかけにして
始めにいた登場人物たちが厳格なブルジョア世界から
外へ向かって飛び出していってしまうようなお話。
記事にあるような変態映画とは思わなかったが
女中が聖人になって奇跡を起こしてしまう脈絡については、
キリスト教国家の人なら分かる感覚なのか。
(映画の肝なのに)ふにおちないのだった。
パゾリーニの遺作がサド原作の「ソドムの市」であることを思えば
宗教的道徳に対する批判と思えばいいのか?
そして今日は高校生の時からファンだったバンドのムーンライダーズが無期限の
活動休止に入るというニュースを見て慌ててチケットを買いに走る。
10年以上前にも一度見た映画だが、
現在ポレポレ東中野で上映中なので改めて足を運んでみる。
ポレポレは毎年GWにチェルノブイリを偲び
原発週間を設けているそうなのだが(知らなかった!)
このたびGWに行ってみたところ、普段はありえない人出でなんと入場できず。
世間の関心の高さが伺える事態である。
そう、これはチェルノブイリ原発事故に遭った人々のドキュメンタリー映画なのだ。
主人公ナージャ(撮影当時8歳)の家族は放射能危険区域に住む。
村民の大半が避難して6家族のみ残された村での生活は
村に通じる路にある検問所以外はとてものどかで美しく
まるで理想郷のような自給自足の世界で気持ちよさに眠くなる。
そのまま成長していれば彼女は何年も前に成人しているはずだ。
どこでどのように暮らしているのだろう。
2006年の映画である。
あ、アルモドバル、となにげなくビデオ屋で借りたのである。
目を離せない、ややもすれば陳腐でドラマティックな展開が
その繊細なラインに落ちるのか!!
とにかくストーリー展開が素晴らしい。
音楽も完璧に合っている。
いつもながら色彩も派手だし美女も出てくるしいつにもまして視聴者へのサービス満点だが
本当のエスパニアの心はここにある、という風に
きちんと力強く自分のラインに引きつけて落としている。
この落としどころはタダの男では見つけられまい。
公式サイト
http://www.clubcultura.com/clubcine/clubcineastas/almodovar/volverlapelicula/index.html
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