アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞し、かつ撮影現場である和歌山県太地町の反発を招いたという、ザ・コーヴを見た。動物愛護の立場からイルカの取り扱いについて語るお話である。
以下のレビューにもあるが「外国人が日本の文化に口を挟むな」とまでは言わないが私も地元住民に対する「野蛮人」的な描き方について違和感を感じた。私の立場からみれば田舎の普通の漁師達に対して、そもそもイメージの歪曲が甚だしい。
データの正確性も曖昧だし(エンディングで注釈がたくさんついている)
仕事として漁に携わっている漁民の漁を止めさせたいという意図があるにも関わらず、漁民の立場に立つ気がないのではないか、
そもそもドキュメンタリーとしてどうなのか。
食肉や娯楽と動物愛護をテーマ扱うならもっとやりかたがあるだろうになあとか、ぐるぐるして
残念ながら提示されたテーマに迫る気にはなりませんでした。
語るべき共通の事実認識が築けなかったというかんじ。
漁も食肉も動物愛護も人間の問題だからなあ。尊敬なくして対話なしというか。
とはいえ私もこの映画を見ていて『キャピタリズム-マネーは踊る』を金融業の人が見たら
似たような気分になったのかしらん、という気付きがあったのも事実。
また話題としては大きく取り上げられたため成功を収めたとも言える。
アサヒコム レビュー
http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY201007200381.html
ザ・コーヴ公式サイト
http://thecove-2010.com/
不況のなか、こういう映画見るのって辛いかなーと思いながら行ったが、流石マイケル・ムーア。
アメリカの酷いとこと素晴らしいとこ、両方見せてくれた。
サブプライム破綻後、粛々と働いているにも関わらず家を追い出される小市民、
対するは「泥棒」金融業界。
(ここんとこでパブリック・エネミーズを思い出した。
今や銀行が泥棒呼ばわりされる時代になったのである。)
確かにアメリカの経済状況は思った以上に酷かった。
若い女性パイロットの年収が1万6千ドルでウエイトレスのバイトをしながら
膨れ上がっていく奨学金のローンを返しているシーンなどを見ると
「それって折角学歴社会でがんばったのに卒業したら借金地獄ってことじゃん」と思ったり。
そして話の流れは市民対金融業界の構図から
キャピタリズム対デモクラシーという構図に移っていく。
つまり「間違っているのは真面目に働いている市民なのではなく、制度なのである。
自らの権利を戦いとろう。」という方向に推移していき
座り込みなどで不動産会社と戦ったり、周囲のサポートを得ている人をレポートしたり、
「あなた方の家を追い出されることはない。スクワットなさい」と呼びかける議員のインタビューなどが入る。
考えてみたら法律だっていつも正しいとは限らない(一部の権力者の要望により制定されたりする)からな。
この辺を問題にするとこが、移民国家だよね。
さすが南北戦争を通過した国だ。見習いたいもんだよ。
「自分たちの社会は自分たちの力で作るのだ」という健全な精神に溢れた映画であった。
デブなマイケルもとてもラブリー。
キャピタリズム マネーは踊る CAPITALISM:A LOVE STORY公式サイト
http://www.capitalism.jp/
結論から言うと、とてもよく出来たフィクションである。
普通のストーリーで張られる伏線はことごとく裏切られ、
観客が感情移入する小市民や美女たちは繊細に描写したのち容赦なく殺戮される。
そして悪い奴、残虐な奴等はせこくあるいはのびのびと生き残る。
15禁映画なのだけれども、これも、奴等がどれだけ酷いのかを説明するためなのだ。
(勿論ヒトラーも死んでしまうが、これは殆ど存在感がないというか
「フィクションなんで」という免罪符?という機能を果たすのか?くらいのものだった)
それが爽快なんだからたいしたもんだ。
終わった後「ああ、愉快であった」と思うが、それはもしかしたら
マルキ・ド・サドの『美徳の不幸』に登場する、心美しくうら若き乙女ジュスティーヌが凌辱され、
挙句の果てに雷に打たれて死んだとき、
「やあ、打たれた」と手をたたいて喜んだエロ爺達にも似たものかもしれない。
(なんじゃこりゃ、散々だあと思いつつもそれは笑えるのだった)
しかし「これは本当にフィクションなのか」と疑念もまたふと頭をもたげる。
イングロリアス・バスターズ公式サイト
http://i-basterds.com/
当初私は、タランティーノの
ヒトラーを殺すという超フィクション娯楽映画を見るつもりで映画館に入ったのだった。
Yに躊躇無く「パブリック・エネミーズだよ」とチケットを買わせ、いそいそと席に着く。
映画は世界大恐慌から始まる。
しかし30分後。
なんかへん。
第一、法外なコストをかけているはずの主演ブラット・ピットが出てこない。
2時間のうちの30分出さないなんてそんな勿体無い使い方するだろうか、と思う。
第二に、ギャグがない。というかシリアスものに思える。
「いやーこれ、もしかしたら、映画、間違って入っちゃったかもー」と
ブラピ好きで出てくるのを楽しみにして見ているに違いないYに耳打ちすると「ええっ」と驚かれる。
ふっごめん。
しかし、映画が終わったら泣いていたので感動したらしい。帳消しである。
内容は、大恐慌時代の最後のギャング、ジョン・デリンジャーの
痛々しいながらも古きよき時代の実話を元にしたお話。
なんとなく「さようならギャングたち」を思い出す。
かなり途中まで脇役と信じていた主役はジョニー・デップであった。
何故分からなかったかと言うと私が見ているジョニーは
ティム・バートンものばかりだからだ(つまり素顔を知らない。流石に「エドウッド」では出てたが…)。
ジョン・デリンジャー
http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text/dillinger.html
パブリック・エネミーズ公式サイト
http://www.public-enemy1.com/
ちなみにタランティーノの新作タイトルは「イングロリアス・バスターズ」であった。
似ていると思いませんか?
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