なんだか良くわからないけどこういう
少しとぼけた断片的で触覚的な作品は脳の裏側を
くすぐられて良い気分にさせられてしまう。
学生時代の恩師の研究室に行ったとき、台湾の留学生から貰ったという
凍頂烏龍茶を煎れて下さり、
「この香りをかぐと頭のてっぺんがもにょっとするんです」と
仰っていたが、そのようなかんじ。
土屋信子 「30 Ways To Go To The Moon」
SCAI THE BATHHOUSE
2018年5月29日(火)-7月14日(土)
https://www.art-it.asia/top/admin_ed_pics/184056
古い西洋絵画の静物画をモチーフにした映像作品。
花や果物が皿に美しく器に飾られた映像で
それ自体がとても綺麗なもの楽しめるが
見ていると徐々に枯れていく、腐っていくなどの変化を遂げる。
数か月かけて撮影しているものもあるらしい。
映像作品の強みを活かした作品であるが
当時の静物画自体のコンセプトが、去りゆく美や生命であることを考えると
見応えはあるが同じ内容を分かりやすく再制作したものともとれる。
モノクロ画像の破壊されるテーブルの映像作品や西洋肖像画作品も
ビル・ヴィオラの作品を思い起こす。
本人が集めてきたモチーフを静物画風に撮ったものについては
その発想を楽しむことができた。
小瀬村真美:幻画~像(イメージ)の表皮
2018/6/16-9/2
原美術館
足の悪い叔父を送ってきたのであった。
昭和っぽい洋風のビルの6階に紳士淑女たちと一緒にエレベータに乗って上がる。
薄暗いダンスホールではなんだか社交場のようで叔父は歓談を楽しんでいるよう。
私は使命を果たしたためエレベータで降りようとする。
と、エレベータの脇に白い肌の艶めかしい様子の裸の女性が蹲っている。
見る間に私の足に裸のまままとわりつく。
こちらに顔を上げた女性の首がほぼ落ちている。妖怪か。
足をべろりと舐められたため「気持ち悪いから離れて」と言う。
一回はごろりと地面に転がるが再び「いやだあ」とまとわりついて
再びふくらはぎを舐められ、うっとおしいし気持ち悪いが
どうしよう、めんどくさいなあと思う。
選挙後、どうも相撲の話題ばかりで、
もりかけ問題も辺野古問題もどこか虹の彼方に消えてしまったやうだ。
と、ぼんやり思っていたのだが、この映画を見るととんでもないことになっていた。
私が気にしていなかったのかもしれないが
辺野古の「米軍基地」どころか
宮古島、石垣島の「自衛隊」ミサイル基地問題のことなど知らなかったし、
現地での民主主義がどんな風にふみにじられているか
(例えば議会を通さずに村長が設置を宣言してしまうとか)も知らなかったし
その知らなかったこと自体、自分に対してショックなのであった。
おかしいな。メディアはどこにいったのか?
議会を通さず基地設置が決められたことに対して
30歳くらいの幼い子どもを抱えた母親たちが
役所に陳情に行っても相手もしてもらえないことも
「税金を使って地域住民に公共サービス提供するのが役所」と思っている人にはショックだと思う。
70年前に犠牲になることを強いられた人々が、再び国から一方的に前線になることを決められて
見ている私だって「人をなめてるよ」と思う。
その後母親の一人は補欠選挙に当選し、3人の子どもを抱えて戦い続けているのだが。
そして私が気の毒になったのは現地に派遣されている警官や機動隊員でもあった。
「こんな仕事するつもりで警官や機動隊に入ったわけではないだろうな」と思ったし
意見を表明することも封じられている。(のか?)
何を考え、どう振舞えばいいのか。あるいは考えること自体を自ら封じてしまうのか。
彼らと自分が妙に重なる。
そしてこんな風に生きている間に殺されちゃうのかもしれないなと思う。
映画『標的の島 風(かじ)かたか』公式サイト
hyotekinoshima.com
久しぶりに行く板橋区立美術館である。
前回行ったのが「種村季弘の眼 迷宮の美術家たち」展だったので
実に3年ぶりである。
しかしここは実に興味深い企画をしてくれるところだなとしみじみ思う。
南インドでの女性を中心とした小さな出版社が出している本の紹介だが
紙、印刷、製本すべて手作りの出版社なのだ。
説明をちらっと聞いた限りでは
インドでは子供向けの本があまりなくそのために立ち上げた出版社のよう。
膨大な時間をかけて生み出されている本たちが、すばらしい。
描かれたイラストの絵もインドの地方の伝統的意匠を基にしているもので
私たちが持ちえないその発想にも驚かされるが、
手刷りのシルクスクリーンが「物としての本」を力強くして
引き込まれる。
オフセット印刷版も販売しているがオリジナルと比較してみると
その違いは明白である。
世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦
板橋区立美術館
2017年11月25日(土)〜2018年1月8日(月・祝)
http://www.itabashiartmuseum.jp/exhibition/2017-exhibition/ex171125.html
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