子どもたちと4人一組で座る。
一人は大人、3人は子どもという組み合わせ。
この装置は全員で足をオールを漕ぐように動かすことで宙に浮かぶというもの。
あまり浮き上がってしまうと落下したときに
危険なのでコンクリートの部屋の内部で行う。
確かに浮き上がり歓声があがる。
おお!と思う。
しかしああ。
折角浮き上がる装置に乗っているのに室内とは。
思う存分空を飛んでいけないものかのう。。
散髪をしに美容院に行った。
私は美容師(スタイリストと呼ぶらしい)を変えるのが苦手で
いつも同じ人に頼むことにしている。
10年以上、もしかしたら15年くらい同じ人。
最近はいくつかの店舗(サロンと呼ぶらしい)を兼任しているため
スケジュールが合いにくく、日曜日に切ってもらうことが多い。
日曜日は混んでいる。
前日に予約を入れた私も悪いが、受付で待っていると
担当の美容師さんがスタッフの人にどうやらダブルブッキングに
なってしまったらしいと耳打ちされているのを聞く。
「あっそう」と答える美容師。私も当人だったらそう答えるであろう。やるしかないし。
しかもその日はカラーやパーマを頼む人が多かったらしく、その美容師の客は私を入れて4人になってしまった。
その結果、洗髪後に放置されてしまう。
なんでやねん。
ちゃんと予約入れたのに。
しかも5時過ぎなのでおなかへった。
椅子をくるくる回転させて抗議のパフォーマンスをしたい気持ちをぐっと堪え、
斜めに座り「私待ちくたびれたわ」というポーズで本を読む。
しばらくすると「お待たせしてすみません」と美容師さんが切ってくれる。
「はあ」と言って黙って切られる自分。
その後もう一度放置された後、仕上げのカットをしながら私のところでちょっとした会話が始まった。
とそのとき。
ついに他の客から呼び出しが入る。そして淡々としているが不機嫌な声のクレームが聞こえた。
一瞬誰もが会話を止め、緊張感が走る美容室(サロン)。
私も放置されて待っている間、美容師が楽しそうに他のお客と話していると「ムキー!」と腹立つもんな…
待たせたお客(私)に気持ちよく過ごしてもらわないといけないという美容師の配慮が裏目に出てしまったな。
美容院への同情と、クレームつけた客に代弁してくれてありがとうと思う、複雑な感情を抱く。
それにしても。
と帰りながら思う。
爆発したのが私じゃなくて本当によかった。
通勤で通る道に「架空線に注意」というのぼりが立てられた。
架空線…いきなり不思議な言葉に衝突して驚く。
架空の線にどうやって注意せよというのか。
駅に着くまで牛のように何度も反芻する。
調べてみると空中に張られている線のことを言うらしい。
建設中の道路があるので重機などが線に触れないように
のぼりを立てていることと思われる。
それにしても架空線とは…
今年は地方芸術祭の当たり年で、自分で認識しているだけで
瀬戸内、愛知、琵琶湖、埼玉、秋田、茨城と6か所で開催されていた。
全部はとても回れないので総合ディレクターが南條史生なら
まあ間違いなかろうと1泊2日で茨城へ。
県北ならば茨城の半分だから何とかなるだろうと思ったが甘かった。
パスポートのスタンプは1/3しか押せていない。
しかし既に地方芸術祭は越後妻有で実績を作っていることもあり
地図や道路上の表示は間違いなく、地域は広いが分かりにくい場所でも
近くに行けば確実に辿り着けるように、また渋滞区間が表示されているなど
効率よく回れるような配慮は感じた。
(越後妻有では地図や道路標示が間違っていることがあり
ドライバーとナビゲーターが必ず衝突する。メンバーの問題?)
以下心に留めておきたい作品などを記載する。
ザドック・ベン=デイヴィッドの「ブラックフィールド」は最も心を動かされた作品。
広い体育館一杯に配置された黒い木のシルエットは広大な雪国を思わせるが
それが反転すると色とりどりの世界になると知る瞬間は感動的。
小さな植物の切り抜きはそれ自体がそれぞれいとおしく感じられ
時間が許す限りその場に居続けたいと思わせる作品。
この作品に対面できただけでも来たかいがあったと思った。
落合陽一のある一定の地点だけで聞こえる声の作品(作品名失念)は独特な視点が面白かった。
ラジコンポートはわざわざ山奥までぐねぐねと道を上って行って、
ただ広場(近隣のラジコン愛好家の活動場所)に到着するというのも楽しかったが
係になっているおじいさんはもっと味があった。
「これが芸術って言われても私には分からんですよ。山が3次元でそこに2次元をとか言われたんですがね。
でも高倉健の幸せの黄色いハンカチと言われたら分かった。黄色じゃなくて黄緑なんだそうですよ」
茨城県民の率直な意見を聞けたこともこういう展覧会ならではの貴重な体験である。
(作品はピーター・フェルメーシュ。風景に違和感を挿入するという場所に見合った秀作)
町にある建物も素晴らしかった。
旧オーベルジーヌもこのままにしておくのは勿体ないくらい素敵な建物だが
何とかならないものだろうか。
袋田の滝などは近くまで行ったものの余りもに渋滞が激しく引き返す。
それ以降渋滞エリアの作品は全て避けて通ったものだ。
とここまで書いて、返す返すも全部回りたかったな…
KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭
2016年9月17日(土)~11月20日(日)
https://kenpoku-art.jp/
今回は名古屋、東岡崎に加え、豊橋と範囲が広い。
1泊2日で出来るところまで見るつもりで朝9時半に名古屋駅からスタート。
まずは名古屋市美術館。
展示場に入る前に地図欲しさにガイドブックを購入するが、
地図は会場に入るとフリーで置いてあるのを見つけ、作品を見る前に臍を噛む。
今回、市美は作品の数が少なく拍子抜け。あっという間に見終わる。
アブドラ・アル・サーディのスイカの風景絵画がかわいい。
そのまま栄、長者町方面へ。前回は薄い印象だが、明治屋栄ビルは建物作品とも充実している。
端聡、美しく完成度の高い作品。サン・ソンヒ、時間があればゆっくり見てみたい。
中央広小路ビルの「交わる水-邂逅する北海道/沖縄」(総合ディレクター:端 聡)の
ミヤギフトシの映像、同様に興味深い。
昼ごはんはコメダ珈琲のエビカツサンド。値段は高いがボリュームにびっくり。
午後からは愛知芸術文化センターの展示。
高橋士郎、見ていて楽しく、詩的ですてき。
オスカー・ムリーリョ、この作家の絵画、とても気持ちの良い身体性を感じさせるものだが
世界各地の学校の学習机に張った布に小学生に描かせるという彼の落書きプロジェクトも
同様に素晴らしいものだった。
一枚一枚めくってもらって各国の子どもたちの絵を比較しながら鑑賞し、随分ゆっくり過ごしたように思う。
大巻伸嗣、今回のトリエンナーレのメイン作品だが
事前の映像を見たのとうり二つだったのと、実際のチベット仏教の砂絵の映像を見てしまった後では
砂絵を薄味にした挙句スタッフを使ってシステマチックに作ったものに感じられてしまい、予想に反して全く刺さらない。
かつて資生堂で発表したのとほぼ同じ作品のはずなので彼のスタンスが変化したというよりこちらの問題か?
岡部昌生のように愚直、素朴にに同じことを繰り返しつつ拡大していくような作家が散見される展覧会の中だからか?
一日目のおしまいはイスラエル・ガルバンの「ソロ」。体1つで勝負を張ったプロの作品というかんじ。
串焼き屋で飲んで駅近のゲストハウスに泊まる。外国の人ばかりで楽しい。
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