期待が大きすぎたせいか、あるいは展示会場が狭いせいか、日曜美術館で見た以上の収穫を得られずちょっと困る。
やはりコロナ禍の影響で展示期間が19日と短くなってしまい、既に終わっている。
その後の企画である
「もつれるものたち」
「MOTコレクション いまーかつて 複数のパースペクティブ」
の2つの展示を見るが、これらは見応えあり。
・リウ・チュアン:40分もの映像作品だが私にしては珍しく全部見る。
フィクションと現実を相混ぜた映像。見せる!
・藤井光 :原発事故で資料館から疎開したまま戻れなくなっている
農耕器具などの資料と映像作品。
未だ続いている原発事故とミュージアムの関係を思う。
・ジュマナ・マナ :人々の生活の中での身近な形を彷彿させるなんとも言えない彫刻作品。
今時こういう造形を作る人がいるとは。
・トム・ニコルソン:ガザ近郊からオーストリアに持ち去られたという
シェラル・モザイク(美しい動物たちが象られたもの)とその返還についての展望
また、MOTコレクションの最終展示室の宮島達夫の作品は
永遠と瞬間の時間に対して静かに向き合えるようにしつらえており
とても来たかいがありました。
カディスト・アート・ファウンデーションとの共同企画展
もつれるものたち
2020年6月9日(火)- 9月27日(日)
東京都現代美術館
終了した展覧会のレビューだが。
コロナ禍の中、銀座のギャラリーも殆どが休廊していた。
ギャラリーだけでなく街全体が異様な様相を呈し、
普段歩きなれているはずの場所なのに看板のライトが落ちていて見え方が違うので
迷ってしまったほどだ。
その中で少ないながらも開廊していたギャラリーの一つ。
あるギャラリーに入って、どこか他に開いているギャラリーはあるかと聞き、
教えてもらったギャラリーQ。
髪の毛で編まれたものによるインスタレーション。
性的な気配と禍々しさが混じりあい、美しい空間を作り出していた。
2020年5月5日(火)- 5月16日(土)
和田 裕美子 展
http://galleryq.info/exhibition2020/exhibition2020-019.html
コロナ禍のせいで各地の展覧会が中止あるいは延期に追い込まれたが
ステーションギャラリーでの神田日勝展は当初の会期を縮小して月内の期間でスタートした。
平成5年に北海道にてこの作家の美術館がオープンし、
興味はあったものの訪れることはなく、今に至っていたため喜んで出かける。
予約制となっている会場に殆ど観客はおらず私を含めて3人程度。
昨年の朝ドラでも取り上げられていた作家なので本来ならばきっと賑わいを見せていただろう。
勿体ない。
農民画家であった作家が身の回りのモチーフを展開して画面作りをしており、
プロレタリア絵画に見える要素もある。ベンシャーンの影響も受けていたという。
しかし何と言っても素晴らしいのは、馬や牛の絵画である。
作家と共に働いた馬の死んだ姿は
関わりを持たなかった者にも哀悼の念を呼び起こす。
その中でも傑作はやはり遺作となった「馬」だった。
作家の意図ではないと思うが、支持体であるベニヤと上半身だけびっしりと書き込まれた馬の
コントラストが実に生き生きと鑑賞者に訴えかけてくるのだった。
ミサ子夫人の文章に、彼の死後、子どもが「お父さんがアトリエから僕を呼んでいたんだよ、
行ってみたけどお父さんは居なかった。
でも半分の馬がジーっと僕の方を見ていたよ」と言ったというエピソードがあるが頷ける。
神田日勝 大地への筆触
2020年6月2日(火) - 6月28日(日)
東京ステーションギャラリー
Powered by "Samurai Factory"