朝日新聞の一面で故宮博物院から清明上河図という
「門外不出の幻の名画」がやってくるという記事を読み、張り切って東博へ出かけた。
着くと当作品を見るために入館まで30分、作品まではさらに2時間も待つという。
幻の威力おそるべし。
待ち時間を聞いただけでうんざりし(というか、待ち時間をプラスすると既にタイムアウト)
近くのSCAI THE BATH HOUSEヘシフトする。
この展示がとても良かった。
綿や針金やフェルトなどの物質に対する愛着が感じられる作品。
シュールレアリスムやボイスどを思い起こさせるような(門外漢の私だけかもしれないが)
レトロな雰囲気があり、茶目っ気もあり、その愛らしさに素直に喜ぶ。
土屋信子「宇宙11次元計画」
2011年11月18日(金) - 2012年1月28日(土)
http://www.scaithebathhouse.com/ja/exhibitions/2011/11/nobuko_tsuchiya_we_are_living_in_a_time_machine/
表参道画廊で氏が企画された作家たちのグループ展となるが
福田尚代氏や高柳恵里氏の作品もあり、全体的に
小さいながらもレベルの高い、見ごたえのある内容であった。
自分が普段見に行っている作家が意外に多く参加しており、
氏の影響力が偲ばれる。
鷹見明彦追悼展
2011.10.31-11.12
表参道画廊
http://www.omotesando-garo.com/link.11/takami.html
レビューを書くのが遅くなったがこないだまでギャラリー小柳でやってたのである。
私が行ったのは最終週だったためか、5時を過ぎると勤め人達で混んでおり、
人気の展示であった。
ビル・ヴィオラといえば2006年、森美術館の大規模な展覧会が記憶に新しいが、
2007年にNYのガゴシアンで見た展示もほぼ同じ内容だったため、
けっこう好きだがワンパターンな人だという印象を持っていた。
ところが4年も経つといくらかの変化が見られた。
ペドロ・コスタ的なじわじわレトロな画面に一見静止画のような動き。
ちょっと目を離すと画面が変化している。
つまり今までと違って古典絵画的な映像作品を作り始めたってことなんだけど、
これって割と誰もが思いつきそうなんだけど、意外に良く出来ていて、
マチエール好きな私は単純に喜んだのだった。
そんなに単純に喜んでいいのか?
ビル・ヴィオラ『Transformations』
2011年9月6日(火)-10月20日(木)
ギャラリー小柳
国立近代美術館の企画展。
ヴァンジ彫刻庭園美術館の展示も泣けるくらい素晴らしかったが
あれから既に5年が経っていたのだった。
年を感じるなあ。というか浦島太郎のようだなあ。
今回の展覧会もお勧めです。
私にとっての発見は80年代のイケムラの作品を見ることが出来た点にある。
80年代のある意味凡庸な表現から今のような
ピュア(??)な(見方によっては拙いとも取れる)表現に発展できるものなのか!
(同行した友人Iは「アウトサイダーアートそっくりだ」と言っていた)
とはいえブランクーシの頭部の作品のような洗練さも見られる。
イケムラレイコのテキストも併せてとても効果的です。
こう書いていても見ないと分からないよね。見てください。
国外で活躍するアーティストなので知名度もまだ低く、
そのため快適に鑑賞できます。
2011.8.23-10.23
国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/Honkan/Leiko_Ikemura.html
今年も東北の温泉に行ってきた。
O温泉から車でN温泉に向かう途中Yが、思いつきで十和田湖まで足を伸ばしてみようかと提案する。
十和田湖まで行くのであればその近くにあるはずの
3年前にオープンした十和田市現代美術館までさらに足を伸ばしたいものである。
冷静に考えてみると三県をまたいだ移動をすることになるのだが
そうそう行ける場所でもないので高速をぶっとばして行くことにする。
結果から言えば美術館には行けたものの時間の都合で湖へはあと30キロ地点で断念した。
永遠の十和田湖。
しかし行ってよかった。
市内を走っていると鄙びた右肩下がりの街並みが続き「こんなところにどんなニーズがあって現代美術館が」と思ったが、夏休み前にも関わらず美術館は大層賑わっておる。
街の中心地で、広々とした土地を生かした、開放的な佇まいの美術館である。
館内外には大型作品が展示されており、
展示室に至っては一部屋毎に1作品の大型インスタレーションが展開されていくのだから
依頼を受けた作家はさぞや張り切ったであろう。
ガラス張りの廊下は歩いているうちに小さな作品を発見するような仕掛けも
随所に見ることができ、建築との融合具合も鑑賞者を楽しませる。
また、道を挟んだ公園にも作品があり、それが来館者以外の
人々に受け入れられている様子も嬉しい。
夜間のライトを使った作品を見られなかったのが心残りである。
また来よう。
(読み返してみると褒めてばっかりだが一番つまらなかったのは企画展でした)
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