画家、彫刻家のサイ・トゥオンブリーだが
先日川村記念美術館で写真展をやっていたので行ってきた。
大きな庭園に巨大な白鳥がのんびりしている長閑な美術館である。
静かな情緒的な写真。特に静物写真がとても美しい。
同じく今年見たモランディを彷彿させる。
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201602_morandi.html
また国内ではあまり見ない彫刻作品があったのが収穫。
しかし昨今このような身体性に注目したペインティングや彫刻を目にすることはないように思う。
身体のリアリティがはオブジェにとって重要な要素だと思うが…。
2016年4月23日(土)-8月28日(日)
DIC川村記念美術館
http://kawamura-museum.dic.co.jp/exhibition/index.html
「ギャラリーに行こう」出品作家によるグループ展です。
49人という大所帯の展示でスケッチやドローイングの展示となりますが
お近くにお越しの際はよろしくお願いいたします。
2016.7.9(土)-.18(月)
数寄和 西荻窪
カプーアといえば宇宙空間と思っていたが最近は身体性に向かっているようだ。
最新の作品はなんと福島で発表されたようだが(とても良さそう)そうとは知らず
ベルサイユで見た。
当然直接制作には関わることはないだろうがすごい仕事量だ。
ベルサイユというところは宮殿に入らなければタダなのだった。
展示作品は5点ほどだが庭園はひろい。ひたすら歩く。
一番よかったのは庭園中央に突然現れた小さな鳴門。
振動と音を感じながら鳴門を見るのは飽きることがない。
しかしこれは宇宙空間の変形ともとれる。
そして宇宙を映す鏡の作品も。
庭園の端っこではキューブでありながら
巨大なヴァギナのような作品。
中に入るとゴムの美しい造形だが。
宮殿の外のスペースでは蝋を使ったインスタレーション
歴史や政治性を感じる。カプーアが今の世界情勢に肉迫してきている印象。
こわいと同時に真摯な作品だと思う。
ダーティ・コーナーという題名の最も大きな作品。
同行した友人の話では以前別な場所で見たときには
中に入れる仕様だったというが立ち入り禁止になっている。
しかも作品として非常に違和感のある金箔に覆われている。
一見して悪趣味だと思ったが聞くところによると
落書きにあったらしい。
作家の意思により金箔で覆うことにより落書きごと保存したらしいが、
コメントを見るかぎりでは悪意のある書き込みだったらしい。
作家の心情を思うと辛い。
パブリックスペースに展示するということは
見る者の意識も同時に問われることなんだと痛感する。
Château de Versailles
9th June–1st November 2012
http://anishkapoor.com/1032/Ch%C3%A2teau-de-Versailles.html
この日記に書くのも3回目のトリエンナーレである。
時の流れは早いものだ。
今回メインとなるキナーレの作品は蔡國強。まあふつう。
新しくできた施設は清津倉庫美術館。
戸谷成雄、遠藤利克、原口典之を展示している。
彼らの作風に合ったシンプルでセンスの良い内装。
新作のアネット・メサジェの作品、室内を出て建物から離れて気付く屋根が怖い。
しかし総じてレベルは高いが予想は出ない印象。
予想を出たのは大巻伸嗣か。シャボン玉が消える瞬間に悲しくなりため息が出る。
また、過去の作品で2度目に訪れたインドネシアのダダン・クリスタントの作品は
2006年から再度制作されたとのことだが、見直した。
風を目で見て耳で感じ、見えないものに対する豊かで明るい感性を感じさせる作品は
佇んでいるだけで笑みを浮かばせる力を持っていた。
土地の持っているものをうまく引き出した作品。
2015年7月 26日(日)~ 9月13日(日)
越後妻有地域
会場はかんらん舎。
かんらん舎は去年見た横浜トリエンナーレで知った。
そうそうたるアーティストを日本に紹介した有名な画廊らしい。
行ってみたらとても小さな画廊で、迷ってしまった。
しかし企画内容は去年の横トリでやっていた、
詩人たちの戦意を鼓舞するテキストを(ガラス越しではなく)
実際に閲覧できるという充実した内容だ。
これに加え、陸軍美術協会が手がけた「大東亜戦争 陸軍作戦記録画集」を
解説の地図付きで一覧できるというもの。
これがびっくり。
藤田嗣治の戦争画は近代美術館の展覧会やテレビでも紹介したことがあり、
理事長の立場で描いていたことは知っていたが、いや、あるいは戦争の残虐性を
後世に残そうとして描いていたのだろうと勝手に解釈していた。
(またテレビ番組ではそのような報道内容だったように思える)
これがどうやら隠れ反戦絵画ではなかったらしい。
以下はARTiTの記事から抜粋。
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今日のため、四十余年の歳月を私はすごして来たと明白に言ひきることが出来るのである。
今日、腕を揮つて後世に残すべき記録画の御用をつとめ得ることの出来た光栄を私はつくづく
有難く感じてゐるのである。絵画が直接御国に役立つと言ふことは何といふ果報なことであらう。
私は右の腕は御国に捧げた気持でゐる。(「解説 あとがき」)
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ちなみにこの画集には私の好きな川端龍子や山口蓬春も入っている。
人間が如何に環境に左右され易い生き物なのかをあからさまにした展覧会。、
また、戦後もそれを隠蔽し続け、都合のいいことだけを信じ続ける私たちの愚かさを
(画家も詩人も戦前戦後ともに非常にポピュラーな作家なだけに)
目の前に突きつけられたかんじでショックです!
私たちは隠蔽している。それを自覚せよ!という展覧会。
2015年8月25日(火)-9月19日(土)
かんらん舎
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